謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!
今日の巌窟王の感想。
サブタイトル §
第十二幕
アンコール
あらすじ §
ユージェニーとアルベールの婚約は破談します。
カバルカンティはユージェニーに言い寄ります。
モスセール家のスキャンダルは、モンテ・クリスト伯爵のリークだと言います。
フランツとユージェニーは会ってアルベールや伯爵のことを話します。
ユージェニーのオペラ座での演奏会に、アルベールは行きます。しかし、ダングラールが彼を通しません。
リュシアンはアルベールに入れ知恵して、こっそり舞台の袖に彼を連れて行きます。
演奏が終わったユージェニーとアルベールは愛を語り合い、婚約など関係ないと言い切ります。
そして、アンコール演奏はアルベールのために弾きます。
しかし、その後、カバルカンティが強引に花束を持って舞台の上に出てきてユージェニーと親しいところを観客に見せつけます。このコンサートはカバルカンティの金の力で実現したものでした。
アルベールは追い出されますが、劇場出口でモンテ・クリスト伯爵と出会います。
その場で、ビルフォールはモンテ・クリスト伯爵を殺人の重要参考人として連れて行こうとします。
感想 §
真摯な恋愛ドラマ、というものを、なぜか久しぶりに見たような気がします。
アルベールとユージェニーの二人の関係は、かつては親が勝手に決めた許嫁関係でしたが、それが解消された今、それは真の恋愛に発展しています。
ある種の矛盾した状況で、周囲に逆らって燃え上がるデンジャラスな恋は素晴らしいですね。
萌えだとかヤオイだとか、そういう (既に過去のものになりつつある) 今時の何かよりも、こういうストレートな恋にこそ鮮烈さを感じてしまう今日のこのごろです。
この作品も、フランツのアルベールへの気持ちや、アルベールが抱く伯爵への好意など、どこかヤオイにつながりかねない空気を孕みつつも、実際には魅力ある女性像と、真剣な男女の関係への視線を失わず、むしろ強調してくるところが面白いですね。
もはや、男性向け、女性向けという作品のカテゴリが無意味化され、男も女も同じ作品を楽しみ、共有する時代が到来したのでしょうか。もしそうなら、それは好ましい傾向だと思います。男にとって都合の良い女だけを味わう、あるいは女にとって都合の良い男だけを味わうような行為は、それが当たり前ではない段階では背徳的な高揚感があるかもしれませんが、もはやそのような時代ではありません。そして、むしろ今現在は、男にとって都合の良くない女、女にとって都合の良くない男の間に発生する緊張感にこそ、より高い快感なるものを期待して悪いことはないだろうと思います。
今回の名台詞 §
カバルカンティ「人を愛することに理由がいりますか」
おそらく彼には理由があります。しかし、理由を言えないからこそ、理由は無いと言い切らねばなりません。しかし、そのようなロジックは、逆にユージェニーをアルベールへの愛に走らせる原動力になった可能性もあり得る?